『運動療法』とは、自分自身で身体を動かすことで筋力を鍛えたり、関節可動域の拡大やバランス能力の改善を図る治療方法です。

リハビリテーションの治療の根幹であり、最も重要であると言えます。

運動療法の補助として活用されるのが『物理療法』です。この物理療法は外力による刺激で身体を治療します。主にホットパックやアイシング、牽引やマッサージが該当します。

リハビリはこの『運動療法』と『物理療法』の組み合わせで治療を進めていきます。

『運動療法』には歩行訓練や筋力トレーニング、体操があり、リタックでは団らんスペースを用いた体操や、リハビリマシーンを用いた筋力トレーニング、歩行路や平行棒を用いた歩行訓練などがあります。他にも階段昇降や屋外歩行も可能です。

体操の種類

①ADL体操(ストレッチや簡単な筋トレの体操)

座って出来る体操をメインで提供していきます。主に、ストレッチを中心として少し筋力トレーニングを織り交ぜた体操を行います。

関節可動域の制限の多くは筋肉の固さ(短縮)にありますのでストレッチによる筋肉の伸長は柔軟性に欠かせません。

人は普段動かしている関節の角度でしか大きな力を発揮できません。これを『関節特異性の原理』と言います。

そのため、大きな可動域を手にいればどんな姿勢でも大きな力を発揮する事が出来ます。

②口腔体操

リタックでは食事の提供はありませんが、お口の健康を保つために口腔体操があります。

近年、加齢に伴う虚弱を『フレイル』と呼んで要介護の手前の状態と位置付けています。この中でも口腔の虚弱を『オーラルフレイル』といいます。

口腔体操ではオーラルフレイルの予防のために口唇、頬、舌の筋肉のトレーニングや固くなった顎や舌の筋肉のストレッチ、嚥下(飲み込み)のための喉の筋肉を鍛える運動を行います。

③骨盤底筋体操

加齢に伴い筋肉の衰えが生じますが、これは手足だけでなく内臓を支える骨盤底筋群にも影響します。

骨盤底筋群が弱くなると膀胱や腸が下がり、便秘や尿失禁などの原因となります。そのため、骨盤底筋を鍛えることで内臓の位置を元通りにしていきます。

また内臓の位置が下がると腹腔という脊椎周辺の空間が広がってしまい腹腔内圧が低下します。

そのままでは、脊椎を支える力も弱くなり猫背(円背)となりますので、姿勢を直し、内臓機能を取り戻すためにも骨盤底筋体操は非常に効果的です。

筋力トレーニング

筋力トレーニングには日常生活以上の負荷を筋肉に与える必要があります。(過負荷の原則)また、日常生活ではおおよそ最大筋力の3割程度を使用していると言われています。

そのため最大筋力が強くなれば、その分だけ家庭内での活動範囲や活動内容は拡大していきます。

筋力トレーニングはマシーントレーニングや平行棒を使ったスクワット、階段昇降などもあります。

全身を満遍なく鍛える事が大切なのですが、特に下肢の筋力トレーニングは心臓への負担率を下げますので、高齢者のトレーニングには歩行以外の目的でも鍛えておく必要があります。

マシントレーニングに関しては⇒こちらをどうぞ

歩行訓練

歩行訓練は基本的に少し大股で歩くようにするのが基本ですが、筋力やバランス能力を鍛えるために色々な歩行形態の応用歩行訓練なども行います。

平行棒内歩行では大股歩行や、小股歩行、腿上げや脚を縦に揃えるタンデム歩行など利用者の方に合わせた練習メニューを組み立てます。

また、歩行補助具の調整や自宅・屋外移動の際に使用する歩行補助具の検討も致します。

歩行訓練は平行棒以外にも歩行路を利用した長距離歩行や悪路を利用した屋外歩行練習などもあります。

階段昇降訓練

階段昇降訓練では普段の生活では少ない段差の練習が出来ます。自宅では玄関や勝手口、階段などの段差がありますので、その段差を乗り越える練習にもなります。

それ以外にも階段昇降は下肢の筋力トレーニングとして活用できますし、階段の上りには心肺機能の向上、下りでは糖尿病の改善効果が期待できます。